山みやげの定番といえば、ピンバッジ。
山小屋ごとに個性あふれるデザインを見ると、
たくさん持っていても
ついほしくなってしまいます。
四角友里さんも
旅するごとに集めているそうで、
仕事部屋の棚の上には
ピンバッジや缶バッジ、ワッペンが
所狭しと並んでいました。
そこで今回も、
お土産に持ち帰ってきたピンバッジの撮り方を
写真家、加戸昭太郎さんから教わります。
【Index】
第1回:
四角いものを歪ませずに写真に収める
第2回:
食べものをおいしそうに見せる
***
友里さんの仕事部屋、
棚上の一角に並ぶ、おみやげコレクション。
この他にも、ボックスに眠っているものが
たくさんあるそうです。
友里:
「光があたる窓のそばに
全部を移動させるのはすこし大変……。
いつも飾っている場所で
うまく撮れたらいいな」
そこでまずは、置かれたままの状態でパシャリ。
友里:
「うーん、まとまりがない」
加戸:
「照明の光が反射するのも気になるね。
バッジの置き方を工夫してみようか」
そう言いながら、加戸さんが
取り出したのは、消しゴムとカッターです
加戸:
「テカリが気になるピンバッジには
下に消しゴムを入れてみようか」
友里:
「なるほど、この消しゴムで、
ピンバッジの角度を調整するんですね」
思い思いの方向を向いていたピンバッジたち。
消しゴムで角度を整え、
絵柄が反射しないように並べ直していきます。
友里:
「バッジが正面を向いて、
写りがよくなってきた!
でも次は、手ブレが
気になり始めちゃった」
加戸:
「日が差し込む窓辺で撮るより、
この場所は光量が少ないからね」
山小屋や屋内など暗い場所で撮影すると、
絞り(ピントの合う範囲)が浅くなってしまったり、
シャッタースピードが下がり、
手ブレも起こしやすくなるのだそう。
加戸:
「カメラの設定で、ISO感度を上げてみて。
感度を上げることで絞りをより深くできて
手前から奥までくっきりと写るようになるし、
シャッタースピードを早められるよ。」
ただし、感度を上げすぎると画像が荒くなるので
写真を大きいサイズでプリントしたい場合などには
注意が必要です。
カメラの設定を変え、バッチをすこし中央に寄せて、
もう1枚、パシャリ。
佐藤(KUKKA):
「まとまりが出たし、手ブレも気にならないですね!
あとはピントをもう少し絞ってみようかな」
加戸:
「カメラの設定を変えるのが難しければ、
三脚を用意するといいよ。
最近は4000円ぐらいで買えるから」
友里:
「なるほど、また欲しいものが増えちゃう(笑)」
加戸:
「友里ちゃんがカメラにつけてるストラップも、
首で固定できるから有効やよ!」
***
次は、ピンバッジの数を絞って
明るい場所で撮ってみます。
加戸:
「いっぱい並べて撮るのもいいけれど、
主役をわかりやすくするには、
テーマを決めるといいよ」
友里:
「たくさんあったほうが
映えるかなと思ったけれど、
同じ山域の山バッジに絞ってみようかな」
そこで、友里さんは二つを選び、
窓のそばの白い棚の上でパシャリ。
友里:
「模様の色や凸凹が光っちゃう……」
加戸:
「太陽の光で明るさは充分だから、
照明を消して、レフ板を使うといいよ」
友里:
「バッジに集中してたら、
照明とレフ板のこと、
すっかり忘れてた〜〜〜〜!
状況に合わせて、
テクニックを組み合わせる
必要があるんですね」
加戸:
「カメラを構える位置を変えても、
質感が変わるから、試してみてね」
気を取り直して、友里さんがパシャリ。
友里:
「何が正解か
よくわからなくなってきた……」
加戸:
「被写体から距離をとって、
ズームレンズで寄ると
背景をぼかせていい感じになると思うよ。
小さいものに寄って撮れるマクロレンズも
こういうときに便利だよ。お花もアップで撮れるし。
でも、友里ちゃんのカメラは
単焦点の広角レンズやからちょっと難しいよね。」
友里:
「ぎゃあ、やっぱり、
レンズを買い足さないと〜〜!」
次に、加戸さんがマクロレンズを使ってパシャリ。
できあがりがこちら。
佐藤:
「すてき。ブーツが雪山に向かって
歩いてるみたいに見えます」
友里:
「画角の左側に
ピンバッジを寄せてるんですね。
余白の作り方、さすがです……」
ニヤリとする加戸さんは
ブーツの山バッジだけに絞って
もう1枚パシャリ!
友里:
「うわぁ。登山靴が歩きだしそうっ!
一気に物語性が出ましたね」
写真を撮ることで
山への想いがさらに募っていきます。
***
次は手ぬぐいや山ノートなど
平面的なものを雰囲気よく撮る方法を習います。
【Index】
第1回:
四角いものを歪ませずに写真に収める
第2回:
食べものをおいしそうに見せる