山で出会った景色。
自宅に持って帰ってきた山の思い出。
撮りたい瞬間も、伝えたい思いも、
いっぱいあるのに、
写真の技術がなかなかついてこないという
アウトドアスタイル・クリエイターの四角友里さん。
そこで、普段からお世話になっている
プロのカメラマンさん方から、
それぞれの得意ジャンルを習う
連載を始めることにしました。
***
初めに声をかけさせてもらったのは、
加戸昭太郎さん。
自然とライフスタイルをテーマに、
アウトドア雑誌や広告、書籍で撮影をする写真家さんです。
ホームページ:https://shotarokato.com/
世界の文化や自然、旅のドキュメントを伝えるステキな屋久島発の雑誌
『SAUNTER Magazine』創刊号の写真ディレクションをされていて、
加戸さんのHPから購入することもできます。
四角友里さんとは10年来の付き合い。
友里さんの山のルポやコラボ商品の撮影も
幾度となく手がけられていることもあって、
おふたりのかけ合いは、ときに漫才のようです(笑)。
国内外の山々で
テント泊縦走や難所の多いハード取材を
⼿がけることが多い加⼾さんですが、
元々は⼤阪のスタジオカメラマンご出⾝。
そこで今回は、
自宅で頭のなかのイメージに近い写真を
撮る方法を教えてもらうことにしました。
(4回に分けてお届けします)
***
友里さん(以下、敬称略):
「自然のなかでは、素敵な景色に
技術不足をフォローしてもらえるけれど、
屋内ではどうにもうまくいかなくって……」
わかります、とうなづく佐藤(KUKKA)と
友里さんのインスタを眺めながら、
加戸さんからひと言。
加戸さん(以下、敬称略):
「う〜〜ん、静物はむずかしいよね。
でもコツをつかめばもうすこしいい感じで撮れるで」
佐藤:
「ぜひそのコツを、
私たちにもわかるように教えてください!」
補足)二人が使っているカメラはこちら。
左)友里のiPhone
中央)友里のミラーレス一眼カメラ:FUJIFILMのX-T30
右)佐藤のフルサイズ一眼カメラ:SONYのα7
加戸:
「そしたら順番にやっていこか。
まず大切なのは、写真を撮る場所を決めること。
なるべく窓の近くの、
光を感じられる場所を探してみて」
友里:
「えええーーーー!
テーブルごと動かすなんて発想、
これまでなかった!(笑)」
家のなかでは、
いくつかの照明の光が干渉し合うことも。
そんな場合も、太陽の光は一番強いので、
曇りの日でも照明に勝るそうです。
***
四角いものを歪ませずに撮る方法
まず初めに、
雑誌や本などの四角いものを撮り方を教わります。
佐藤:
「真四角のものを歪まずに撮るのがむずかしいし、
斜めに撮ろうとすると手前の部分が大きく映ってしまうし」

ダメな例。やや歪んでいて、絶妙な気持ち悪さ……
友里:
「わかる。
それに、表面がテカるのも気になってる~!」
加戸:
「本のように平面的なものが、
鏡のように光って映るのは、
窓から入る光や部屋の照明に対して
向かい合うように撮っているときやで」
友里:
「ってことは、カメラを構える位置を変えれば、
テカらずに撮れるってことですか?」
加戸:
「そうそう。気になる場合は、
光が被写体に対して横や斜めから当たるように
カメラの位置を調整するといいよ」
友里&佐藤:
「へえ〜〜〜!」
加戸:
「カメラを構える前にまず、
どの角度から光(太陽)が入ってるか、
確認してみて」

光の⼊り⽅を確認するためには、コップなど⾼さのあるものを置き、影を⾒るとわかりやすい
加戸:
「被写体に対して
光が横や斜めから入っている場所なら
真上から撮れば太陽の光も照明も
映り込まないから本が光らないね」
そこで、まっすぐ上から撮る方法を
試してみることにしました。
加戸:
「影を見てみて。本の横と下部に出てるよね。
その幅がだいたい同じぐらいだと、
立体的に見えてきれいだよ。」
取材が始まる前は、
自分たちにセンスがないことを確認する
展開になることを不安視していた私たちですが、
加戸さんは一つずつわかりやすく丁寧に教えてくださいます。
佐藤:
「真上から撮影したつもりでも、
被写体が歪んでしまっていることに
後から気づくことが多くって。
なにか気をつけられることってありますか?」
友里:
「わたしはモニターにグリッド線を出してるよー!
いまはiPhoneでも簡単に設定できるよ」
佐藤:
「ほんとだ、すぐにできちゃいますね!」
ここまで教わってきたことを思い出しながら、
いざ、友里さんが撮影に挑戦!
加戸:
「真上にレンズがこないと歪んでしまうよ。
平行と垂直を意識してね!」
友里:
「う、腕が攣りそう!あ、そういえば!
私のカメラ、モニターが立ち上がるんだっ!!」
加戸:
「ちゃんと、カメラの機能を使い〜や!
真上に目線がなくていいから、楽やで」

被写体が⽔平垂直になるように、グリッド線を利⽤して確認!
そして、パシャリ!
友里:
「おお〜〜〜!上達してる感じがする!」
***
次は撮影場所を窓辺の机上から変えてみます。
友里:
「うーむ。そうしたら、
照明の下のソファで撮ってみようかな。
でも、自分の影が気になるな……」
加戸:
「そんなときは、
家のおもな照明を一つだけにして、
できる影をかわすように
自分の位置を変えて撮るといいよ。
となりの部屋の光も干渉することもあるからね」
そこで、ソファーの横へ移動し、パシャリ。
友里:
「うーむ。床が写りこむのがちょっと邪魔かな。」
加戸:
「光はいいから、
正方形にトリミングするのもアリだけどね」
続いて、ソファーの後ろへと回り込んで、
パシャリもう一枚。
友里:
「ほんとだ、位置を変えるだけで、印象が変わる!
これなら、夜でも撮影もできそうですね!」
***
取材スタートから約1時間。
ようやく満足のいく一枚ができあがりました。
友里:
「ソファーやベッドはお気に入りの
色や質感を選ぶことが多いから、背景によさそう♡
テーブルよりも低い位置にあるから
覗き込みやすくって、
カメラを離して撮りやすかった!」
加戸:
「好きな色の紙や画用紙、布を敷くのもいいね」
友里:
「今日は雨が降ったり曇ったりで
こんなときに撮影できるのかな?
と思っていたけれど、
自然のやわらかい光で撮影できるのに
びっくりしました!
あと、自分には
センスが足りないんだと思ってたんですけど、
理論を覚えることで補える部分があるんですね!」
加戸:
「そうやで。カメラは算数やで〜〜」
……算数?!(またもや不安になるふたり)
***
次回は加戸さんから、
食べものをおいしく撮る方法について教わります。